スポーツや水遊びで起きる「耳のトラブル」対策

スポーツ中に耳を強くぶつけると、鼓膜が破れることがあります。また、コンタクトスポーツや格闘技などで耳に打撲や摩擦が繰り返し加わると、皮膚と軟骨の間に血が溜まり、耳が変形することもあります。さらに、プールや海水浴などで耳の中に水が入ったままにしていると、炎症が起こる場合があります。
今回は耳のトラブルについて最低限押さえておいてほしいことを解説します。

強い衝撃で起きる「鼓膜破裂」

耳を強く打つと空気圧の変化によって鼓膜が破れ、聞きづらくなったり、まったく聞こえなくなってしまったりすることがあります。鼓膜が破れるのは、ボールや剣道の竹刀などがぶつかる外部からの衝撃が原因です。

鼓膜の破裂を疑った場合には、慌てずにすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

鼓膜の損傷を広げる原因になるため、綿棒や耳かきは絶対に使わないようにしましょう。また、顔や頭を洗って水が耳に入ってしまうと感染症を起こす場合もあります。

鼻を強くかむことや、耳ぬきも、悪化させる原因となるので避けてください。

鼓膜が破れた場合、鼓膜は高い再生能力があるので自然に治ることも多いですが、細菌感染を防ぐためにも受診することが大切です。
耳鼻咽喉科を受診するまでは、清潔なガーゼを軽く耳の穴に当て、水やほこりが入らないよう保護しましょう。

耳を含め、頭部への強い衝撃があった場合には、頭痛などの脳振盪の症状や首のケガなどが無いかも併せて確認が必要です。

打撲や摩擦で起きる「餃子耳」「柔道耳」

スポーツ中の耳への打撲や強い摩擦によって皮膚と軟骨の間に血液が溜まり、腫れ上がることがあります。そのまま放置すると耳は変形してしまいます。

柔道やレスリング、ボクシングなどの格闘技、ラグビーなどのコンタクトスポーツでよく起こります。

耳に痛みや熱を伴う腫れを感じた場合、または耳が腫れて血液が溜まっている場合には耳鼻咽喉科や形成外科を受診してください。病院で溜まった血液を抜く処置が必要になりますが、一度抜いても血液は再び溜まることが多いため、複数回通院して処置してもらうのが一般的です。

耳の中の水を放置して起きる「外耳炎」

プールや水遊び、海水浴などで水が耳の中に入ったまま放置していると、細菌が繁殖して、耳の痛みやかゆみ、腫れなどを起こすことがあります。

子どもがプールや海水浴などの後に「耳が聞こえにくい」と言ったり、会話の中で何度も聞き返してきたりするといった場合にまず考えられるのは、一時的に水が耳に詰まったままの状態か、または外耳炎です。

大切なのは、耳の中に水が入っているのを放置しないことです。

プールでの休憩は安全管理や体温調節のために子どもの場合には20分から30分おきに1回設けられるのが一般的です。筆者が小学生以下を指導する際には、この休憩の時やプールが終わってクールダウンをする時に、耳に水が入っていないかを確認するためにも、顔を傾けて何度かジャンプし、耳の中にある水を出すよう伝えています。

米国疾病予防管理センター(CDC)は、耳たぶを優しく引っ張りながら頭を傾けて、水を出し切ることを推奨しています。

また、予防としてしっかり耳を乾かすことが重要です。鼓膜に問題がない場合の外耳炎予防として、プールや海水浴の後に綿棒などを使って軽くぬぐう程度で水気をとりましょう。耳の中を強く擦ると耳の中や鼓膜を傷つけてしまう恐れがあるので注意が必要です。

耳から水を出しても聞きづらい場合や、発熱や耳から液体が出る耳だれがある場合には早めに耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。

子どもの場合には耳の異変に気付きにくい、説明しにくいという点があり、周りの大人がさりげない子どもの仕草や表情などで異変に気付くことも大切です。

保護者や水遊びの際の見守り・付き添いのスタッフの方は、参加していた子どもに下記のような仕草や症状がないかを観察しましょう。

・耳を頻繁に触る
・耳の後ろを指で押さえる
・テレビの音を大きくしたがる
・いつもより大きな声で話す

耳のトラブルは聴力に関係することが多いため、異変に気付いた時には医師に相談するようにしましょう。

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<著者>

NPO法人スポーツセーフティージャパン ディレクター

陣内 峻

ネバダ州立大学ラスベガス校キネシオロジー学部卒
米国BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)
総合学園ヒューマンアカデミー、日本健康医療専門学校、横浜スポーツ&医療ウェルネス専門学校非常勤講師
都立武蔵中学校・高等学校サッカー部トレーナー
米国スポーツ医学アカデミー公認フィットネスエデュケーター