「喉が渇いたら飲めば大丈夫」
「経口補水液を飲んでいれば大丈夫」
「自覚症状がないから水分は足りている」
もし水分補給に関してこのように考えていたら、知識をアップデートする必要があります。
今回は暑さの中でのスポーツ中の水分補給について、最低限押さえておきたいポイントを最新情報も交えて解説します。
子どもは要注意!喉が渇いたら飲めば大丈夫…… ではない!
暑さの中での運動は、深部体温(脳や内臓など身体の中心の温度)が上がり、パフォーマンスの低下や熱中症の原因となるため、体温が上がりすぎないようにコントロールすることが大切です。体温をコントロールする方法は、衣服や防具を調節することのほかに、身体冷却があります。
身体冷却は、体表からの冷却(外部冷却)と体内からの冷却(内部冷却)に分けられます。両者をうまく活用することによって、深部体温を抑え暑い中でも活動しやすくすることができるでしょう。また、冷却を行うタイミングによって、運動前(プレクーリング)、運動中(パークーリング)、運動後(ポストクーリング)と呼ばれ、活動中に複数回の身体冷却を行うことで、体温の上がりすぎを防ぎます。
プレクーリングではウォーミングアップ中の過度な体温の上昇を防ぐこと、パークーリングでは急激な体温の上昇を防ぐこと、ポストクーリングではリカバリーを目的に身体冷却を実施します。
身体の中から・外から冷却するアイデアをご紹介しますので、皆さんの活動中に取り入れやすい方法やタイミングに合わせてぜひ実践してみてください。

子どもは大人に比べ、体内の水分量が多く、体重のおよそ70%程度を占めているとされています(大人は50〜60%程度)。水分量が多いぶん、脱水の影響を受けにくそうに見えますが、実はその逆です。体内水分量がもともと多いということは、3%の減少(熱中症の症状が出始める目安)でも絶対量として失う水分が多く、また少しの変化で体内環境が乱れやすいということでもあります。
さらに子どもには、大人と比べて「喉の渇きを感じにくい」という特徴があります。身体の内部では水分不足が始まっていても、本人が渇きとして自覚するタイミングは遅れがちです。加えて、飲んだ水分がそのまま体内に吸収されるわけではありません。大人が一度に吸収できる水分量は200〜250mL(コップ約1杯分)とされており、身体が小さい子どもではさらに少なくなります。
運動中の水分補給は、運動前後の体重減少が2%以内に収まることが目安となりますが、上記の理由から、子どもの水分補給は「喉が渇いたら飲む」では遅いと考えてください。渇きを感じる前に、15〜20分おきにこまめに補給する習慣が大切です。指導者や保護者が意識的にタイミングをつくることが重要になります。
経口補水液を飲んでいれば大丈夫…… ではない!
熱中症対策としてすっかり認知されてきた経口補水液ですが、スポーツ現場では少し誤解されて活用されているケースも見受けられます。
経口補水液は、あくまでも熱中症の応急手当として、汗で失われた水分と塩分を素早く補給するためのものです。スポーツ中の熱中症を予防するためのものではなく、足がつったり、頭痛やめまいなど熱中症の症状が現れたりしてからの水分補給に非常に効果的です。
運動が1時間以上に及ぶ場合や運動強度が高い場合には、水だけでなく電解質や糖質を含むスポーツドリンクなどの飲料を飲むことが推奨されています。
一方で、1リットルなど大量の水を一気に飲んでしまうと「水中毒」になり、重症化すると死に至るケースもあります。
スポーツドリンクの成分を見て選ぶポイントは以下の3つです。
・塩分(ナトリウム)
・糖質(炭水化物)
・疲労回復成分(ビタミン、アミノ酸、クエン酸など)
運動中に飲むスポーツドリンクの成分として大切なのが、塩分と糖質です。
塩分については、0.1%〜0.2%が推奨されていますが、市販されているスポーツドリンクはこの範囲内にあります。
糖質は運動中のエネルギー源となると同時に、ナトリウムと一緒に摂取することによって水分の吸収を促進してくれる働きがあります。水分の吸収効率が良くなる糖質濃度は、2.5%〜8%です。エネルギー補給を考えると、4%〜8%程度の濃度が推奨されています。
スポーツドリンクの各商品で違いが出てくるのが、ビタミン(ビタミンB群やビタミンC)、アミノ酸、クエン酸といった成分が含まれているかどうかです。アミノ酸に関しては運動中に飲むとお腹がゆるんでしまう人もいるので注意が必要です。
自覚症状がないから水分は足りている……ではない!
脱水は、自覚症状が出る前の段階からパフォーマンスに影響を与えることがわかっています。これも、自覚症状が出る前にこまめな水分補給が重要となる理由のひとつです。
体重比で1%の脱水では、自覚できる症状はほとんどありません。ところが、集中力や判断能力といった認知機能はすでに低下し始めています。2%になると喉の渇きを感じるようになり、それと同時に持久力に関係する有酸素性運動能力も低下します。さらに3%では、強い渇きやぼんやり感・食欲不振といった症状が現れ、筋力・パワーの低下に加え、ダッシュやジャンプを繰り返す高強度の動作でのパフォーマンスも大きく落ちます(詳細は「水分減少率とパフォーマンスへの影響」の表を参照)。
喉の渇きを補給の合図にすると、すでに2%の脱水が始まっている状態です。こうした段階的な影響を防ぐには、こまめな水分補給とともに、客観的な指標で水分状態を把握することが重要です。運動前後に体重を測定し、減少幅を確認する習慣と、尿の色・量をチェックする方法が効果的です。
スポーツドリンクは市販のものだけ…… ではない!
スポーツドリンクと聞くと、市販のものをイメージしやすいですが、家にあるものを使って手軽に自作することができます。「スポーツドリンクは甘すぎるから」と薄めて飲んでいる人は、ぜひ自分が飲みやすいスペシャルドリンクを作ってみてください。市販されているスポーツドリンクを薄めてしまうと、濃度が変わることによって体内への吸収率が低くなる可能性があります。スポーツドリンクでは濃度がとても重要になるため、氷を使う場合には、氷も水分量として計算するようにしましょう。甘さを控えめにしたい場合には、ブドウ糖の活用がおすすめです。
スポーツドリンクを自作するときに押さえておきたいポイントは3つです。
・塩分濃度は、0.1%〜0.2%
・糖質濃度は、2.5%〜8%(エネルギー補給の場合には4%〜8%)
・本人にとっての飲みやすさ
筆者は、市販のスポーツドリンクが好きなのでスポーツをするときは市販品を選んでいますが、登山のときだけ、水分補給を忘れがちになるため、自分好みのドリンクを作って持って行きます。

【スペシャルドリンク レシピ①】
・冷水:500mL
・ハチミツ:30mL
・食塩:1g
・レモンの搾り汁:25mL
・(リンゴ酢:30mL)※「味変」用
リンゴ酢に関しては、登山の終盤にはスポーツドリンクを爽やかにしたいので、途中で「味変」ができるように最初からは入れずに持参するようにしています。
もし好きなフルーツジュースがあれば、下記のレシピで簡単にフルーティーなスペシャルドリンクが作れます。ビタミンCやクエン酸などを含むレモンに、お好みのフルーツジュースを合わせるアレンジです。フルーツジュースは商品によって栄養成分が異なるため、栄養成分表示を確認したうえで選んでみてください。
【スペシャルドリンク レシピ②】
・冷水:250mL
・好きなフルーツジュース:250mL
・食塩:1g
ぜひ、自作のドリンクも試してみてください。
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