
スポーツは子どもたちの成長に欠かせないものですが、ケガのリスクも伴います。もしお子さんがスポーツでケガをしてしまったとき、保護者としてどのように対応すればよいでしょうか?本記事では、ケガをした際の専門家による診察やリハビリテーションの重要性など、保護者が知っておくべき概論を解説します。お子さんの安全なスポーツ活動をサポートするために、ぜひ参考にしてください。
スポーツドクターによる診察と診断
一般の医師の中でも、アスリートのサポート経験がある医師の診察を受けることができれば、より安全かつ早期にスポーツへ復帰できる可能性が高まります。
スポーツや運動に関連する医師、スポーツドクターの制度には以下の3種類があります。
- 健康スポーツ医(認定団体:日本医師会)
- 日本整形外科学会認定スポーツ医(認定団体:日本整形外科学会)
- 日本スポーツ協会公認スポーツドクター(認定団体:日本スポーツ協会)
スポーツドクターは、ケガをした後に安全かつ早期にスポーツへ復帰できるよう、さまざまなアドバイスをしてくれるでしょう。
自宅ではどのようなケアをすればよいのか、何をしてはいけないのか、スポーツに復帰するまでの目安はどれくらいの期間必要なのか、などです。また、安全かつ早期に復帰できるようにするためには自宅での取り組みだけではなく、医師の処方に基づいた理学療法士によるリハビリテーションも大切です。
スポーツに特化した理学療法士
リハビリテーションの必要がある場合などには、専門家である理学療法士が担当することが多くあります。理学療法士にもアスリートのサポート経験が豊富な方がいます。
スポーツや運動に関連する理学療法士の認定制度には5種類あります。
- 専門理学療法士(スポーツ理学療法)(認定団体:日本理学療法士協会)
- 認定理学療法士(スポーツ理学療法)(認定団体:日本理学療法士協会)
- 日本スポーツリハビリテーション学会認定トレーナー(認定団体:日本スポーツリハビリテーション学会)
- 認定スクールトレーナー(認定団体:公益財団法人 運動器の健康・日本協会)
- 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(認定団体:日本スポーツ協会)
スポーツ選手のリハビリテーションは、単に安全かつ早期の復帰を目指すだけのものではなく、ケガをする前よりもケガをしにくい、高いパフォーマンスを発揮できる状態になることを目的としています。そのため、ケガをした部位(患部)だけでなく、患部以外のトレーニングも重要となります。
リハビリテーションでは、ストレッチングやトレーニングなどの内容は個々の状態に応じてカスタマイズされ、パーソナルトレーニングのように理学療法士から1対1の指導を受けることができます。さらに、スポーツに復帰した後にも、より高いパフォーマンスを発揮できるように各自で実施できるプログラムが提供されます。このリハビリテーションは、ケガが再発しない身体づくりや、子ども自身が身体をケアするセルフケアの教育の機会にもつながります。
そのようなことからも、理学療法士に普段のケガ予防も含めて今後のアドバイスを積極的に受けることをお勧めします。
ケガは、スポーツ医科学の専門家に出会う機会でもある
プロのスポーツチームでは、スポーツドクターや治療家(理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師)、アスレティックトレーナー、ストレングス&コンディショニングコーチ(トレーニング指導者)、管理栄養士・栄養士、メンタルコーチなどさまざまな専門家が活躍しています。
パーソナルトレーナーとして活動している方のなかには、スポーツ医科学にも精通されている方が多くいますので、必要に応じて普段から助言、指導を受けることができます。ただし、地域のスポーツクラブなどの現場ではこのような専門家が常にチームに帯同していることはまれです。そのため、子どもがケガをしたときは、保護者にとっては不安と心配がつのるものの、スポーツドクターや理学療法士などの専門家に直接指導を受けることができる機会でもあります。このような機会に専門家に頼りながら、自身の知識習得や学びを深め、普段からケガをしにくい身体づくりを心掛けることもアスリートには大切なことです。

子ども達のスポーツ活動にはケガがつきもの。
万が一に備えてチーム、クラブで「スポーツ安全保険」に加入を行いましょう。