成長期の子どもは骨が急成長するため、オスグッド病などの成長期特有のケガを招きやすい時期です。特に強度の高い運動は負担が大きいため注意が必要です。今回は成長期のケガ予防のために子ども自身が取り組むことができるセルフケアについて、ポイントを解説します。
筋肉の柔軟性を高めるためのストレッチ
成長期は、筋肉と骨の成長のスピードに違いがあり、先に成長した骨に引っ張られて筋肉が硬くなると、身体の柔軟性が低下したり、痛みが出る原因になったりします。そうした痛みを最小限に抑え、ケガを防ぐためのセルフケアとして代表的なのが、柔軟性を高めるためのストレッチです。
柔軟性を高めるためのストレッチでまず押さえておいてほしいポイントは、「痛い」と感じるまで伸ばさないことです。
大人が子どもをストレッチするときに、子どもが「痛い、痛い」と泣きながら伸ばしている光景を思い出す方もいらっしゃるかもしれませんが、筋肉の柔軟性を高める目的で実施するストレッチにとって、痛みを感じることは逆効果です。痛みを感じると、体は防御反応として筋肉を縮ませるのでリラックスすることができません。
柔軟性を高めるストレッチでは、「痛気持ちいい」と感じる程度に30秒以上伸ばしてください。
また、柔軟性を高めるためには筋肉が温まっている状態で実施するとストレッチがより効果的になるため、運動直後やお風呂から上がった時がベストなタイミングです。
股関節・胸椎・肩甲骨(関節)の可動性が鍵

ケガの予防のためには、筋肉の柔軟性に加えて、股関節、胸椎(きょうつい)、肩甲骨を中心とする「関節」をどれくらい動かすことができるかという可動性も重要です。
特に鍵となるのが、股関節、胸椎、肩甲骨の3つの関節または部位です。
股関節の動きが低下してしまうと、膝や腰の負担が増加し、ケガのリスクが高まります。一方で背骨のなかでも胸の裏側あたりに位置する「胸椎」の動きが低下すると腰痛や肩の痛みの原因になります。肩の背中側にある平らで大きな骨である肩甲骨の可動性が低下すると、肩や首の痛みの原因となります。
ストレッチで筋肉の柔軟性を高めながら、正しいフォームで自重トレーニングに取り組むことによって、安定性や可動性を自然に高めることができ、成長期のケガを防ぐセルフケアとなります。
これは、成長期の子どもだけでなく、一緒に取り組む保護者の方にもお勧めしたいセルフケアです。
ケガを防ぐ「自重トレーニング」を極める
成長期の子どもに適したトレーニングは、自分の体重を負荷として行う自重トレーニングです。トレーニングの専門家によって定期的に指導してもらえる場合であれば、自重トレーニングだけでなく、ダンベルやバーベルなどの重りを持ったウエイトトレーニングも安全に実施することが可能ですが、周囲にトレーニングの専門家がいない場合には自重トレーニングを活用するようにしましょう。
腕立て伏せやスクワット、ランジなどの代表的な自重トレーニングが大切です。ここでいう「自重トレーニングを極める」とは正しいフォームにこだわるという意味です。
SNSや動画サイトではトレーニングの専門家が正しいトレーニングのやり方を丁寧に説明している映像が数多くあります。また、成長期の子ども向けのトレーニングを解説した本では、動画で正しいフォームが見られるように工夫されています。
正しいフォームにこだわることは、つまらないと感じるかもしれません。しかし、各競技で活躍しているプロの選手たちは誰もが基本を大事にしています。トレーニングにとって基本となるのが、自重トレーニングの正しいフォームです。
「固定」と「安定」の違いを意識する
自重トレーニングを正しいフォームで行うために、「固定」と「安定」の違いを意識できると良いでしょう。安定とは、「止まったまま耐える(固定)」だけでなく、「動きながら正しい位置をキープする(安定)」、動きをコントロールできている状態のことです。
本来、ケガを防ぐためには、身体の一部を固定するだけではなく、安定が必要です。もちろん、体幹を固定した状態で実施するプランクなどの静的な体幹トレーニングを否定している訳ではありません。これらのエクササイズは体幹トレーニングとして最初に取り組む自重トレーニングのひとつではありますが、徐々に強度を上げるために難易度の高い自重トレーニングに変えていきましょう。

固定と安定の違いが分かりやすい例として、しゃがんで立ち上がるスクワットの膝の向きに注目してみましょう。
スクワット中に膝がつま先に対して内側や外側を向くと膝の靱帯をケガするリスクが高まるため、スクワット中には膝とつま先が同じ方向を向くようにぐらぐらしないよう安定させて行うことがケガの予防では重要です。
このように、スクワットを正しいフォームで実施することによって、自然に膝を安定させる機能を高めることができるのです。