正しい知識で熱い!夏を乗り切ろう
梅雨が終わると本格的な夏が到来。
今年も皆様にとって「熱い夏」がやってきます。
そこで心配なのが「熱中症」
熱中症予防に努め、実際に発生した際の対処方法を理解し、安全に「熱い夏」を乗り切りましょう!!
熱中症を予防するために
夏に限らず日頃から運動前の体調管理は大切です。
特に体に大きな負荷がかかる気温が高い中でのスポーツ現場では、寝不足、疲労、風邪気味などの体調不良は熱中症の大敵。
夏場は普段よりも一層、体調管理を心がけましょう。
これに加えて、夏場は次の点にも注意して熱中症の発生を防ぎましょう。
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徐々に暑さに慣れよう
梅雨明け、合宿の初日、休み明けなど、暑さに慣れていない状況での突然の暑い日には、特に熱中症の発生件数が多くなります。
これを防止するためには、5~6月より暑さに慣れるために、従来よりも運動量を落としたところから5日間程度の間に徐々に運動量を上げていく順化トレーニングが効果的です。
しかしながら、土日などの余暇を利用して活動を行う一般の方々がこれを行うのは難しいことです。
梅雨明けなど、急に暑くなった場合には普段よりも運動量を落として活動し、日頃の生活の中で暑さに慣れて来たところから徐々に運動量増やすなどの工夫が必要です。 -
無理な運動は避けよう
高温においては皮膚表面からの放熱がうまく行かないどころか、皮膚の温度より気温が高いと、逆に熱が体内に取り込まれてしまいます。
発汗には、汗が蒸発する際に気化熱を奪って体温を下げる目的があります。多湿下では汗が蒸発しないため、発汗作用による熱放散がうまくいきません。
このようなことから、高温多湿という日本特有の夏は極めて熱中症のリスクが高いと言えます。夏場は他の季節よりも運動量を下げる必要があります。
また、年齢により暑さの耐性が異なります。
高齢者・子どもの場合には、体の代謝機能が減退、未発達であることから、発汗作用など熱放散の機能がうまく働かないことがあります。
さらに子どもについては身長が低い分、地面からの輻射熱の影響をより多く受けています。
指導者自身が大丈夫と感じていても、実際に活動を行う方々の属性により暑さへの耐性が異なりますので、年齢に応じた運動量の調整が必要です。 -
自由に水分・塩分を摂取できる環境を
発汗量は体格、運動強度によっても異なり、1時間に2リットルにおよぶこともあります。脱水症状を避けるためには適切に吸水する必要があります。
また、多くの汗をかいた際には汗とともに多くの塩分が体外に排出されます。
特に夏場の運動のように汗の量が多い状況のなかで水分だけを摂取すると、体内の塩分濃度を保つために水分の吸収が妨げられることがあります。
そのため、水分だけなく、適切な塩分も摂取する必要があります。
一般的なスポーツドリンクには塩分(ナトリウム)が含まれており、水分と塩分が同時に摂取できる面で効果的です。
子どもなどでスポーツドリンクが苦手な場合には、利尿効果のあるカフェインを含まない麦茶などの水分とともに、塩分を含んだタブレットを摂取するのが良いでしょう。
体質、体格により発汗の量が異なるため、それぞれのタイミングで自由に吸水ができる環境のなかでスポーツを行うことも重要なことです。 -
薄着と衣服の素材選び
皮膚表面から熱発散がされることを考慮すると、皮膚の露出が多いに越したことはありません。そのため、半袖、短パンでの活動が夏場は適しています。
ケガ防止の観点から防具や長ズボン着用が求められスポーツ種目がありますが、このような場合には、より一層運動量を落としたり、休憩時間を長くとる(休憩中は締付けを緩めたり、装具を外す対応)、暑さに慣れるための順化期間をとるなどの対応が求められます。
また、汗を吸収するという観点から綿素材のように汗を吸収するものを選びがちかもしれませんが、汗の蒸発による気化熱の熱放散効果を得るには、通気性、放湿性に優れた合成繊維の素材を選ぶようにしましょう。
色についても黒や紺などの濃い色は太陽光からの熱を吸収してしまうため、白、ピンク、黄色などの明るい色を選びましょう。
熱中症が発生したら
熱中症の症状が現れた場合には、以下のとおり対処しましょう。当初は軽症であっても、症状が進行することもあるので適切な対処が必要となります。
身体の冷却
熱中症の症状が現れた場合には、ただちに体温を下げる必要があります。
ベルトやソックスなどの締付けを解き、薄着にさせ、風を送るなどして熱放散を促します。
また、濡れたタオル、氷を使い全身を冷やすなどの対応をとってください。
安静を取る場合には、足を10cmほど高くして寝かせます。
症状が重度の場合には、著しく体温が高い状態です。
このような場合には、全身を氷水の浴槽に浸す方法が最も効果的ですが、現場にてこのようなものが用意されていることは希です。
その代替としてホースなどで全身に水をかけて強制的に体温を下げる方法が推奨されます。
スポーツ安全保険は熱中症も対象
暑さへの耐性は各個人によって違うため、気を付けて活動していても、また、それほど気温が高くなくても発生することもあります。
熱射病ともなると、重篤な症状となり大きな負担につながることがあります。
安心して夏の活動を行うため、本格的な夏の到来を機に熱中症も補償される「スポーツ安全保険」に是非加入しましょう。
熱中症予防 掲示のお願い
当協会にて熱中症予防に関する啓発掲示物を作成しました。
スポーツを行う皆様が安心して活動が行えるよう、スポーツ・体育施設等にて掲示のご協力をお願いいたします。
以下よりPDFをダウンロードのうえ印刷をしてご利用ください。