コリジョンスポーツで起こりがちなケガと応急手当ての基本

ラグビーやサッカー、柔道などのように選手同士がぶつかるスポーツ(=コリジョンスポーツ)では、骨折や脱臼などといった、競技ならではの起こりやすいケガがあります。今回はコリジョンスポーツで起こりやすいケガの特徴と現場で取るべき具体的対応について解説します。

コリジョンスポーツは、選手同士の接触が「外傷」の引き金に

スポーツ中のケガには、「外傷」と「障害」の2種類があります。

外傷は、打撲や骨折、脱臼などのように、1回の大きな力で急に起こるのが特徴で、いつケガをしたのかが明確です。

一方、障害は、疲労骨折やオスグッド病など、ストレス(負荷)が長期的にかかって起こるのが特徴で、「なんか最近、すねの内側が痛いな〜」などというように、いつケガをしたのかが明確ではありません。

コリジョンスポーツでは、外傷と障害はどちらも起こりますが、選手同士の衝突や接触によって強い衝撃が加わるため、打撲や骨折、脱臼などの外傷が特に多く発生します。

アメリカンフットボールやラグビー、アイスホッケー、柔道、相撲など、ルール上、相手の選手を倒すことが許されているコリジョンスポーツでは、激しい接触による重い外傷へ備えておく必要があります。倒される衝撃だけでなく、自分または味方が少しでも有利になるように無理な姿勢をとることによって、ケガをしてしまうこともあります。

緊急性の高い外傷の見分け方

1. 脳振盪の疑い

 脳振盪の疑いがあるときには、まずプレーから外すことが大切です。プレーから外した後は、脳振盪の症状の有無をチェックし、ひとつでも当てはまる症状があれば救急車を呼びましょう。当てはまる症状がない場合でも、その日はプレーに戻さず、必ず脳神経外科などの専門医を受診させましょう。症状の有無のチェック手順は、以下の記事を参考にしてください。

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2. 骨折・脱臼(血行障害がある場合)

頭や首、背骨などの体幹で変形などを伴う外傷の場合、意識や呼吸などを観察しながら救急車を呼びます。医療の専門家が不在のスポーツ現場では、むやみに動かさないようにしましょう。固定や搬送は救急隊員が行います。
手や足などに明らかな変形がある場合には、骨折や脱臼などの疑いがあります。その場合、まず血行障害があるかどうかを確認してください。爪の色が白くなるまで押してからピンク色に戻るかどうかをチェックすることによって、血行の状況を確認することができます。

左右の血行の状況を比較して、負傷し変形のある側が白からピンク色に戻るまでに要する時間が長いようであれば緊急と判断し、迅速に医療機関へ搬送する必要があります。

備えておきたい、現場でできる応急手当て

生命に関わる危険な兆候はないケガの場合でも、応急手当てを行った後はできるだけ速やかに医療機関へかかりましょう。医療機関へ引き継ぐ前にやっておくべき応急手当てをご紹介します。
 
スポーツ中に起こるケガへの基本的な応急手当てはRICE処置です。ただし、明らかな変形がある場合には、骨折や脱臼などの疑いがあるため、RICEのうち圧迫は行わずアイシングのみとし、固定することが大切です。
 
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1. 出血

大量出血を伴う傷の対応では使い捨ての手袋を着用し、清潔なガーゼなどで出血している部位を直接圧迫することで止血します。その後は必ず病院で処置してもらいましょう。

2. 骨折・脱臼(血行障害がない場合)

 骨折や脱臼などを疑い、前の章に記載の方法で血行の状況を確認して左右差がない場合には、ケガをした部位を固定とアイシングをして、医療機関へ連れて行きましょう。

 
骨折の疑いがある場合の固定は、ケガをした部位だけでなく、骨折の疑いがある骨の上下の関節も固定するようにしてください。例えば、前腕の骨が骨折している可能性があれば、手と肘も含めて固定します。
 
関節が外れる脱臼の疑いがある場合も、脱臼の疑いがある関節の上下の骨を固定してください。例えば、肘が脱臼している可能性があれば、前腕と二の腕の骨も含めて固定しましょう。
 
脱臼や骨折を疑うときに利用するために、救急箱の中には三角巾を(できれば2枚)用意しておきましょう。
 
掲載記事: スポーツ現場の救急箱に必要なものリスト

三角巾はイラストのように使用します。
ケガをした部位を固定することによって、余計な力を抜いてリラックスすることができ、痛みを軽減させる効果もあります。

固定をする際は固定がきつ過ぎて血液の循環が止まっていないかを再度、確認してください。腕であれば手の指を、足であればつま先が常に見えるように固定します。

骨折、脱臼の治療・施術

 スポーツでケガが起こったときには、スポーツに特化した整形外科医の診察と診断を受け、理学療法士の指導のもと、リハビリテーションに取り組んでスポーツに復帰することが重要です。

 
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また、骨折や脱臼などの外傷の場合には、柔道整復師でも対応が可能です。
 
練習中に常にドクターや柔道整復師の方に帯同してもらうのは難しいと思いますが、治療(施術)やリハビリで理学療法士や柔道整復師にお世話になることがあれば、手や足などで外傷が起こったときに固定する方法を教えてもらっておくのもよいでしょう。

<著者>

NPO法人スポーツセーフティージャパン ディレクター

陣内 峻

ネバダ州立大学ラスベガス校キネシオロジー学部卒
米国BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)
総合学園ヒューマンアカデミー、学校法人三幸学園東京リゾート&スポーツ専門学校、日本健康医療専門学校非常勤講師
都立武蔵中学校・高等学校サッカー部トレーナー
米国スポーツ医学アカデミー公認フィットネスエデュケーター