スポーツ外傷・障害予防-柔道編

外傷・障害の特徴

年齢別の外傷発生頻度

柔道全体の発生頻度は4,785件/10万人で、全スポーツ種目の平均的な発生頻度(2,160件/10万人)と比較して2倍以上となっています。

特に大学生(19~22歳)の男子の発生頻度が12,318件/10万人と突出しています。

部位と外傷の種類

部位別の割合について、特定の部位のみが突出して多いということはなく、足・指、膝関節、手・指、胸腰部、肘・前腕、肩関節・上腕および足関節において、いずれも10~13%の割合で外傷が発生しています。

外傷の種類は、捻挫と骨折で全体の78%以上を占めています。なお、脳振盪を含む頭頚部の外傷は、他の競技よりも低い割合ながらも約5.2%発生しています。

年齢別の部位と外傷の種類

未就学児(0 ~ 6歳)では胴部、肩、肘、足の指の骨折が多く、小・中学生の年代では部位に関わらず骨折と捻挫が全体の70 ~ 80%を占めました。
高校生の年代からは骨折の割合が減少し、捻挫が大半を占めるようになり、件数は多くないものの重症事案である膝関節等の靭帯断裂の割合が増加します。。
20代では捻挫がさらに多く見られ、他の年代に比べて脱臼が多いという特徴が見られました。

柔道の特徴

  • 外傷の発生頻度は、全スポーツ種目の平均の2倍以上と高い
  • 捻挫と骨折が全体の78%以上を占めている
  • 中学生までは骨折の割合が高く、高校生以上になると骨折の割合が低くなり、捻挫の割合が高くなる
柔道競技目次

<著者>

東海大学体育学部 教授

全日本柔道連盟 医科学委員会委員

宮崎 誠司

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