スポーツ外傷・障害予防-柔道編

柔道競技の特徴

柔道は、幼少時代から古武道である柔術修行に打ち込んだ嘉納治五郎が、様々な流派を研究し、それぞれの良い部分を取り入れ、さらに自らの創意と工夫を加え、1882年(明治15年)に創始した武道です。嘉納は「柔よく剛を制す」という、心身の力を最も有効に活用した技術体系の原理を完成させました。「精力善用」「自他共栄」に表される基本理念は「身体と精神を最も有効に働かせる」ことにあり、競技における単なる勝利至上主義ではなく、身体・精神の鍛錬と教育を目的としています。

柔道は組み合って投げるため、初心者に怪我が多く見られます。その理由は初心者は身体にかかる負荷に対する防御方法、身体の護り方(特に頭頚部)が出来ていないからと考えられます。柔道をすることで、「投げることができる」、「受身がとれる」ということを学ぶだけでなく、正しい身体の使い方を覚えてこそ安全に柔道ができるのであり、その先には身体の鍛錬から精神を発達させることになります。決してただ相手を投げるといった術(すべ)を学ぶのではないのです。

柔道競技目次

<著者>

東海大学体育学部 教授

全日本柔道連盟 医科学委員会委員

宮崎 誠司

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