スポーツ外傷・障害予防-野球編

野球競技の特徴

野球競技では、投げる、打つ、走る、捕るなどの要素が含まれ、一つひとつの動作で高い運動技術が求められます。 また、左右不均等な動作や、繰り返し同じ動作を行うことが多く、負担が同じ箇所に集中するため、スポーツ障害の多い種目です。

投げる動作は、下半身⇒体幹⇒上半身の順に運動が連鎖し、下半身の力を指先に上手に伝えることで、強いボールを投げることができます。 しかし、いわゆる“手投げ”になったり、下半身の筋力や柔軟性が低下している場合は、力の伝達がうまくいかずに、結果として肩関節・肘関節に大きな負担がかかり障害が生じます。

全日本軟式野球連盟は、少年の野球障害に対する提言のなかで「個々の選手の成長、体力と技術に応じた練習量と内容が望ましい。」としています。 現在のガイドラインでは学童(小学校高学年)は全力投球を1日70球以内、週300球以内とすることを規定しています。 大会のみならず、練習時の負担を考慮することが障害予防につながるため、監督やコーチ、保護者を含めた様々な方面から、選手の体調や練習量の管理が必要です。

また、投げる、打つ、走る、捕るが不良な動作にならないように、正しい姿勢を習得することも大切です。 例えば、骨盤を立てることができず、姿勢が曲がっている(いわゆる猫背)と、動作時に肩関節・肘関節に大きな負担がかかります。 テレビゲームをする時間が長いと姿勢不良となり、障害のリスクが上がるといわれています。野球をするときだけでなく、日頃の姿勢にも気を配ることが必要です。

特に成長期の小学生、中学生では、身体的な変化が大きく、柔軟性が相対的に低下しやすいため、全身の柔軟性を含めた身体機能の強化や、不良な投球動作の改善が重要です。

野球競技目次

<著者>

慶友整形外科病院副院長 スポーツ医学センター長

全日本軟式野球連盟理事 医科学委員副委員長

古島 弘三

<著者>

慶友整形外科病院 理学療法士

貝沼 雄太

当「スポーツ外傷・障害予防ガイド-野球編」は動画でも公開しています

他競技