スポーツ外傷・障害予防-ラグビー編

ラグビー競技の特徴

ラグビーフットボール(以下ラグビー)には7人制・10人制・13人制・15人制と様々な形式のゲームがあります。 いずれも同じ大きさのフィールドで試合するため、人数が少ないラグビーではスペースがあるのでボールがフィールドいっぱいに展開され、試合の流れがよりスピーディーになります。 一方人数が増えるに従ってスペースが減少するため、プレーヤー同士のコンタクトの頻度も増え、密集にかける人数も多くなり、大きなエネルギー負荷が生じます。

いずれのラグビーにおいてもcollision sports(衝突するスポーツ)であり、同時に高いランニングフィットネスが求められるスポーツであることは変わりがありません。

特に相手に激しくコンタクトして前進を図りながらボールを継続する場面や、ボールキャリア(ボールを保持しているプレーヤー)にタックルを行うことにより相手の攻撃の継続を絶ち、争奪の場面を作り、そしてボールを再獲得する場面においては、より激しいコンタクトシチュエーションが生まれます。 つまり激しいコンタクトを行いながら、リスタートや方向転換を繰り返して走るといった高いフィジカルとフィットネスが要求されるスポーツなのです。 またラグビーにはスクラム、ラインアウトといったほかのスポーツでは見られることがないセットプレーがあり、これもまた双方のフィジカル面が大いに影響するプレーなのです。

当然これらの競技はスポーツ損傷を伴うリスクがあります。 ラグビープレーヤーと指導者は、体型・スキル・性別・年齢の異なるプレーヤーに適切な環境下で行えるよう準備するため、個人のスキルや競技の技術的な理解を向上させ準備の整った状態でプレーをさせるよう心がける必要があります。

また、近年脳震盪に対する対応について特に厳格化をしています。

ラグビー競技目次

<著者>

流通経済大学 スポーツ健康科学部 教授

日本ラグビー協会メディカル委員会・安全対策委員会 委員

山田 睦雄

(公財)日本ラグビーフットボール協会様では、ケガが発生した場合に現場にて適切な処置を施せるよう、「ラグビー外傷・障害対応マニュアル(アプリ版)」を公開しています。当予防ガイドとともにご活用ください。

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