スポーツ外傷・障害予防-サッカー編

外傷・障害の特徴

年齢別の外傷発生頻度

発生の頻度は、男子では大学生(19~22歳)が最も多く、10万人当たり8,042件の割合で発生しています。
また、小学校高学年から高校生の年代(10~18歳)において約4,500件/10万人で推移しているという特徴が見られます。

女子については、男子と同様に大学生(19~22歳)においてピークとなっています。(5,953件/10万人)

また、サッカー全体の発生頻度は3,008件/10万人で、全スポーツ種目の平均的な発生頻度(2,160件/10万人)と比較すると、高い傾向にあります。

部位と外傷の種類

足関節の捻挫が全体の約13%と最も多く、ほかの傷害を含めると足関節の外傷が全体の約19.5%を占めています。
ただし、部位を区別しなければ、骨折・ひびが全体の約40%と最も多くなります。骨折・ひびは、手関節及び手指に多いのが特徴です。

これは、サッカーがグラウンドやサッカーコートを走り周り、俊敏な切り返しの動作を頻繁に伴うスポーツであるため、足関節の捻挫に加えて、転倒などによる手関節及び手指の骨折が多く発生していることを示しています。

年齢別の部位と外傷の種類

世代別の受傷傾向として、未就学児(0~6歳)は上半身への受傷割合が高く、小学生~中学生(7歳~15歳)からは徐々に下肢への受傷が多くなり、高校生以上(16歳以上)になると下肢への受傷が多くを占めるようになります。

これは、成長とともに身体のバランスが図られることで転倒が徐々に少なくなるものの、競技レベルが高くなるにつれて運動量、瞬発力、俊敏性がより求められるようになるため、下肢への受傷が多くなることを示しています。

サッカーの特徴

  • 外傷の発生頻度は男女とも大学生に最も高い
  • 足関節の捻挫、手関節・手指の骨折・ひびが多い
  • 身体の発達に伴い受傷部位の割合が上半身から下肢にシフトする
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<著者>

帝京大学 医療技術学部 准教授

佐保 泰明

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