スポーツ外傷・障害予防-サッカー編

発生事例の解説

足関節捻挫

足関節(内反)捻挫は、サッカーにおいて最も頻度の高い外傷の一つです。
足首を内側に捻ることにより生じ、足首の外側の靭帯が損傷します。足関節捻挫は方向転換時やストップ動作時、下腿の内側をタックルされた際に生じます。足関節捻挫の予防には、ふくらはぎのストレッチやバランストレーニング、足首周りの筋力の向上が有効です。

膝前十字靭帯損傷

膝前十字靭帯損傷はスポーツ活動中に発生することが多い怪我です。
直接、膝に力が加わって生じる場合(接触型損傷)や、膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋が大きく働く動作や膝を捻った時に生じる場合(非接触型損傷)などがあります。非接触型の膝前十字靭帯損傷は女性の方が男性よりも数倍発生頻度が高く、ジャンプの着地動作や方向転換動作で発生しやすいことが示されています。受傷時には膝が内側に入ってしまうことにより生じることが多いです。

脳振盪

最近では各種スポーツにおける脳振盪が注目されています。
サッカーでの脳振盪の発生状況として、ヘディングの競り合い、ゴールキーパーとの接触、ルーズボールでのボールの奪い合い時などに発生することが多く、頭同士の衝突だけでなく、相手の肩や肘、膝などが頭に当たることによっても生じます。脳振盪の症状としては意識消失や記憶障害だけでなく、頭痛やめまい、耳鳴りなど多岐に渡ります。一つでも症状が当てはまる場合、その日の運動は中止し、医師の診断を受ける必要があります。また競技復帰には段階的なステップを踏む必要があります。

サッカー競技目次

<著者>

帝京大学 医療技術学部 准教授

佐保 泰明

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