スポーツ外傷・障害予防-水泳編
外傷・障害の特徴
年齢別の外傷・障害発生頻度
競泳は、外傷の発生頻度が少なく、慢性障害の多い競技です。なかでも腰部、肩関節に慢性障害が好発します。
繰り返しの負荷が加わることで、腰部の障害は腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症、肩関節はインピンジメント症候群や腱板損傷などが発生します。
年齢別の障害部位については、小学生は肩関節、中学生以降は腰部が最も多いという特徴があります。
部位と外傷の種類
外傷の発生は練習時に多く、最も避けるべき重篤な外傷は、飛び込み時の頚椎・頸髄損傷です。
その他の外傷では、ゴールタッチ時や、練習時に他者と衝突することで突き指が発生する場合や、プールサイドで足を滑らせて転倒し、捻挫や骨折が発生することもあります。
年齢別の部位と外傷の種類
慢性障害の予防のためには、練習前に陸上で行う「予防エクササイズ」が重要です。競泳の日本代表選手を対象に検討した研究では、モーターコントロールエクササイズを中心としたエクササイズの介入により、腰部障害が減少したことを報告しています。
また、競泳はスタート後やターン動作後に上肢を挙上し、身体が一直線となる「ストリームライン姿勢」をとるため、肩関節の屈曲可動性の向上や、過度な腰椎前弯位の抑制が求められます。
競泳は、体幹を軸とし四肢を動かすことで推進力を得るため、上肢や下肢と体幹との連動性や協調性を高める必要があります。
入水する際の飛込み時に多く発生する頸椎・頸髄損傷の予防には、頭から入水するのではなく、足から入水することを心がけることが必要です。また、水深が浅いプールでは飛込みの練習を行わないなど、安全管理も重要となります。
水泳の特徴
- 外傷よりも慢性障害の発生頻度が高い
- 慢性障害の発生部位は、腰部・肩関節の順で多い
- 外傷は、頸椎・頸髄損傷や手・指の突き指が多く発生する
- 外傷部位は、小学生は肩関節の外傷が多く、中学生以降は腰部が多い
水泳競技目次
- 水泳競技の特徴
- 外傷・障害の特徴
- 発生事例の解説
- 外傷・障害予防プログラム