スポーツ外傷・障害予防-バレーボール編

外傷・障害予防プログラム

バレーボールでは①オーバーユース(使いすぎ)、②ジャンプ・着地、スパイク等の反復的な動作・衝撃が主な原因とするスポーツ障害が多く発生します。これらの予防のためには、年齢に応じた練習量やメニューの調整を行うとともに、練習前後、日頃のストレッチ、受傷しやすい部位周辺筋力の強化を行うことが重要です。

また、バレーボールでは突き指、膝の靭帯損傷や足首の捻挫などの外傷が多く発生します。このような外傷を防ぐには、周辺筋力の強化、テーピング、装具の装着などで予防を行います。

この章では、外傷、障害予防に有効なストレッチ、トレーニング、装具などをご紹介します。

ストレッチ

ストレッチは以下の理由からスポーツ障害の予防に役立ちます。

  • 柔軟性を確保することで、筋肉が衝撃に対するクッションの役割を果たす。
  • 関節部の可動域を確保することで、負荷のかかりにくい身体をつくる。
  • 血行を改善して疲労回復の効果がある。

バレーボールにおいては、肩、腰、膝、足首周りの関節を中心とした外傷、障害が多く発生しているため、これらの予防に役立つストレッチを紹介します。

立って行うストレッチ

大腿部のストレッチ
   
方法 片足で立ち、もう片方の足を手で上後方に引き上げる。
注意点 上体を起こし、大腿四頭筋(大腿の前部)が伸びていることを意識する。
   
方法 片足を前に出し、ストレッチを行う側の足を後ろにし、膝が地面に付かない程度に体を沈み込ませる。
注意点 上体を起こし、大腿四頭筋(大腿の前部)が伸びていることを意識する。
   
方法 四股を踏むような姿勢をとり、徐々に上体を前傾していく。大腿部だけではなく股関節のストレッチにもなります。
注意点 上体を前傾する際に猫背にならないようにします。
ふくらはぎ、アキレス腱、足首のストレッチ
   
方法 壁を押しながら身体を支え、片足を引いて前傾し、引いた足首とふくらはぎを伸ばす。壁がない場合には、前足の膝に両手を置いて行う。
注意点 後ろ足の踵は浮かないよう地面に付け、ふくらはぎ、アキレス腱がしっかりと伸びていることを意識する。
足首のストレッチ
   
方法 両ひざを抱えてしゃがみ、その状態で前後に体重移動を繰り返す。
注意点 臀部を地面に付けずに浮かせ、両足の踵は地面にしっかりと付けます。足首にしっかりと負荷がかかっていることを意識する。
肩のストレッチ
 
方法 頭の後ろにあげた腕の肘を、もう片方の手でつかみ、横に引き伸ばす。
   
方法 前にあげた腕の肘を、もう片方の手で引き寄せるように肩の筋肉を伸ばす。
注意点 上体は腕を引く方向と一緒に捻らないようにする。
肩・腰のストレッチ
ぶら下がりストレッチ
   
方法 肋木などにぶら下がり、肩、腰を伸ばす。
注意点 全身の力を緩め、リラックスした状態でぶら下がることを意識する。

座り姿勢、寝姿勢で行うストレッチ

腰、後腿、ふくらはぎのストレッチ
   
方法 体育座りの状態からつま先を持ち、ゆっくりと脚を伸ばす。
注意点 伸ばした際にできるだけ膝が曲がらないようにする。
   
方法 タオルなどを使用し、足首を曲げたまま片足を伸ばしてあげる。
注意点 伸ばした際にできるだけ膝が曲がらないようにする。
肩のストレッチ
 
方法 正座をした状態で両手を前に長く出し、胸を膝に近づけて行き、肩と脇の筋肉を伸ばす。
腰のストレッチ
 
方法 片膝を曲げて、もう片方の足とクロスさせる。上体を①の方向に捻りながら、クロスした足を腕で上体とは逆方向②に捻る。
   
方法 寝姿勢で、片方の足をクロスさせて腰を捻る。
注意点 捻る方向と反対側の肩が浮かないように意識する。

トレーニング

関節周辺の筋力を強化することで関節が安定し、耐衝撃性も向上するため、外傷・障害の予防につながります。

足首、膝、アキレス腱(ふくらはぎ)のトレーニング
 
方法 ゴムチューブで下方向に負荷をかけながらつま先を上に持ち上げ、足首前面を強化
 
方法 ゴムチューブで内側に負荷をかけながら足首を外側に開き、足首の外側を強化
 
方法 ボールを両足で挟み込み、足首の内側を強化
   
方法 ハーフスクワットで、膝、足首の強化
注意点 膝が前に出ないようにする
 
方法 つま先立ちを繰り返し、足首、アキレス腱(ふくらはぎ)を強化
腰のトレーニング
ハンドニー
 
方法 四つんばいになり、伸ばした腕と対角線側の足を浮かせる。
サイドブリッジ
   
方法 片肘をついた状態で横向きに寝て腰を持ち上げる。
注意点 頭→足が一直線になるようにする。
バックブリッジ
   
方法 仰向けに寝て臀部を浮かせながら足を持ち上げる。
注意点 肩→体幹→足が一直線になるようにする。
肘・肩のトレーニング
 
方法 〈肘〉ゴムチューブで後方に負荷をかけ、肘をつかんで安定をさせて手首、肘をクイクイと押し出す。
 
方法 〈肩〉足で固定したゴムチューブを持った腕を上げ下げする。

装具・テーピング

装具の装着、テーピングを行うことは外傷・障害の予防、再発予防に役立ちます。

代表的なものとしては、膝、足首、腰といった関節部、腿、ふくらはぎの筋肉の外傷、障害を防止するためのサポーター、指を保護するためのテーピング法があります。

テーピングは保護する関節、靭帯の箇所によって方法が異なります。知識を持っているトレーナー、指導者に行ってもらうことが一番ですが、難しい場合にはインターネットの動画を参考にしながら、1人ではできないものは他の人の手を借りて行いましょう。

  • ジャンパー膝等の防止に役立つ膝サポーター
    ジャンパーニー等の防止に役立つ膝サポーター
  • テーピングの一例(隣の指を支えにするバディ固定)
    テーピングの一例(隣の指を支えにするバディ固定)

スポーツ貧血を予防するための食事

バレーボールでは他の競技より内科的障害の「スポーツ貧血」が多くみられます。

バレーボールはジャンプでの着地、強烈なスパイクを打ったり受けとめたり、フライングレシーブ等を繰り返すことから、全身へのインパクト(衝撃)を頻繁に受けるスポーツです。
このようなインパクトを受けると、その箇所の血管内にある赤血球が破壊され、ヘモグロビンが酸素を細胞に運べなくなり、疲労や持久力が低下することがあります。このような貧血症状をスポーツ貧血といいます。汗をかいたり食欲不振でもおこります。

これを予防するために、普段の食事から「鉄分」を多く含んだもの、鉄分の吸収を良くするための「タンパク質」、「ビタミン」をバランス良く摂ることが大切です。

和食はこれらをバランス良く摂ることができます。
身体づくりの目的に加え、スポーツ貧血防止のための栄養管理も重要となります。

医師として大きなケガがもとでバレーボールを諦めるどころか、日常生活にも支障を来す選手に向かいあうことがあります。
そのようなことが少しでも減るよう、外傷・障害を負わないための身体作りや、装具などの装着でケガを防ぎ、安全に長くバレーボールを続けられるよう心がけてください。

バレーボール競技目次

<著者>

杏林大学整形外科

(公財)日本バレーボール協会 医事委員会 顧問

林 光俊

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