スポーツ外傷・障害予防-野球編

障害予防プログラム

全力投球数などの練習量の調整・制限も重要ですが、ストレッチなどの障害予防の導入・実践を併せて行うことで、肘内側痛有病率の低下に寄与するといわれています。

練習前や練習後に実践し、全身のコンディショニングを行いましょう。

肘関節のストレッチ方法

前腕の筋肉は、投球時にかかる靭帯や関節への負荷を軽減させるのに重要な筋肉です。投球を重ねるごとに疲労して柔軟性が低下し、障害リスクが上昇していきます。そのため、肘を伸ばすストレッチが重要です。

方法手のひらを体の内側に向けて肘を伸ばす(①)
手のひらを体の外側に向けて肘を伸ばす(②)
回数30秒間×3〜5回
注意点すべての指を持ち、体の内側に引っ張るイメージで伸ばす。

肩関節下方のストレッチ方法

肩関節は、投球時に強い負荷がかかり、肩後方の筋肉が疲労します。投球を重ねるごとに疲労して柔軟性が低下し、障害リスクが上昇していきます。そのため、練習前後で肩下方をストレッチすることが重要です。

方法四つんばいの姿勢になり、投球側の肘を地面に付けます。
ゆっくりお尻を下げていくとともに、投球側の脇も下に押し付けるようにして肩周辺をしっかりと伸ばす。
回数30秒間×3〜5回
注意点わきが地面からボール1つ分のところまで下げる。

肩関節後方のストレッチ方法

肩関節は、投球時に強い負荷がかかり、肩後方の筋肉が疲労します。投球を重ねるごとに疲労して柔軟性が低下し、障害リスクが上昇していきます。そのため、練習前後で肩後方をストレッチすることが重要です。

方法投球側の体の側面を下にして横向きになり、手のひらを地面に向かって押す。
手のひらが地面に付くまで下げる。
回数30秒間×3〜5回
注意点地面につけた肩が浮かないように気をつけながら行う。

体幹・股関節のストレッチ方法

投球動作時に下半身をうまく使うためには股関節・体幹の柔軟性が重要です。ストレッチを行うことで、体幹・股関節周りの動きがスムーズになります。

方法仰向けになり投球側の手のひらを頭の下に入れて、肘と膝が浮かないように下半身を捻る。
回数30秒間×3〜5回
注意点体全体を伸ばすため、肘や膝の位置が足元に下がらないようにし大きく捻る。

股関節のストレッチ方法

股関節を捻りにくい選手は、野球障害率が上昇します。ストレッチを行うことで、骨盤の動きがスムーズになります。

方法体育座りの姿勢から、片方の足をもう片方の膝の上に置き、下の足の膝を地面に近づけるように捻る。
回数30秒間×3〜5回
注意点足を倒す方向側のお尻が浮かないようにする。

膝関節のストレッチ方法

普段の姿勢が悪いと、ハムストリングスの柔軟性が大きく低下します。投球動作の際も下半身をうまく使うことができなくなります。ハムストリングのストレッチを行い、良い姿勢を目指ししましょう。

方法上体を倒し、太ももとお腹をつけた状態で屈伸運動を行う。
回数20回×1〜2セット
注意点太ももとお腹が離れないように行う。
野球競技目次

<著者>

慶友整形外科病院副院長 スポーツ医学センター長

全日本軟式野球連盟理事 医科学委員副委員長

古島 弘三

<著者>

慶友整形外科病院 理学療法士

貝沼 雄太

当「スポーツ外傷・障害予防ガイド-野球編」は動画でも公開しています

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