スポーツ外傷・障害予防-ラグビー編
外傷・障害予防プログラム
世界各国のラグビー協会をまとめているWorld Rugby(以下WR)は、ラグビーの競技特性と外傷との関係に注目し、指導者またはメディカル関係者、そしてプレーヤー達に対して、インターネットで簡単にアクセスできるオンライン形式の安全対策講習用テキストである「Rugby Ready」を製作しており、プレー中の安全対策やスポーツ損傷後の正しい対応、復帰前のリハビリテーションを学習することの重要性を説いています。
ウォーミングアップに入れるとよいプログラム
頚部トレーニング
顎を突き出さないように、頚部を伸展・屈曲・左右方向に他動的等尺性筋力トレーニングを行う。
屈曲方向では抵抗は下顎と前頭部に加える。
Part 1 ジェネラルモビリティ
スクワットパス
二人の距離を5m~10mあけて立ち、背中をまっすぐにしたまま、できるだけ低くスクワットする。
ゆっくりとコントロールしながらスクワットする。
まっすぐ前を見て、かかとは最後まで地面から離さない。
この状態で互いに姿勢を崩さないようにパスをする。
レンジツイスト
足を前に一歩出し、もう一方の足は後ろで膝を曲げる。背中はまっすぐ、地面に対し垂直に伸ばす。前足の膝が、つま先よりも前に出ないこと。身体をコントロールしながら左右に捻る。後ろの足から前に出て、前足にそろえる。反対の足で同じ動きを繰り返す。
スタンディングラテラルランジ
左足を横に一歩出し、左膝を曲げ、右足はまっすぐ伸ばしたままにする。最初の姿勢に戻り、反対の足で同じ動きを繰り返す。
背中は、最後まで伸ばしていること。
Part 2 トランジットモビリティ
ウォーキングランジ
腰とお尻の筋肉によく効くエクササイズ。足の付け根、四頭筋、ハムストリングの準備運動にもなる。
胸を高くボールを平らに保ち、頭を固定して顎を胸から離す。まず両足で立ち、腰とハムストリングが伸びるよう膝を高く上げて前へ出す。この時、バランスが崩れるほど大きく出さないように注意し、前足の膝がつま先よりも前に出さないこと。
続いて後ろの足を前へ出し、前の足にそろえる。反対の足で同じ動きを繰り返す。ボールを頭の上で持って行ってもよい。
Part 3 スキルウォーミングアップ
ウォーミングアップには、セッションの前のプレーヤーの準備運動でだけでなく、スキルのウォーミングアップもあります。プレーヤーはスクラム、ラインアウト、タックルなど、セッション中に必要なスキルに焦点を当ててウォームアップを行います。
股関節より頭を高くして、膝を十分に曲げた状態で行う1対1のスクラムは、どのポジションにおいても必要なスキルウォーミングアップになります。
スクワット綱引き
スクワットポジションを取り、綱またはタオルを左右の手でしっかりと握りながら、交互に引っ張ったり引っ張られたりしながらスクワットの姿勢を維持する。向かって左の人の姿勢はよい姿勢で、右の方は悪い姿勢である。
Part 3-1 タックル
サイドタックル
ボールキャリアの脚に両側の腕をきつく巻きつけ、自分の顔を相手の臀部の外側に当て、足でドライブし続け、ボールキャリアを地面に倒し、自分が上になるように転がる。
後方からのタックル
タックルできる距離になるまで、ボールキャリアを追い、ボールキャリアの腰または脚のあたりに両側の腕を巻きつけ、頭を身体の側面に付け、肩でコンタクトし、腕を内側に引く。最後に両腕をぎゅっと締め、ボールキャリアの身体をずり落とし(頭は常に片側につけながら)、ボールキャリアを地面に倒して上になる。
Part 3-2 ラック
Part 3-3 スクラム
1人で行うプログラム
2人でスクラムを組むプログラム
クラウチの段階で、相手と耳と耳をつける位置につける。正しいシークエンスに従い、必ず競技規則通りの掛け声が出てから組む。競技規則に従って相手とバインドする。エンゲージメントでは、安全なバインドをしながら、肩が股関節より高い位置にある強く安定した姿勢を維持できるように努力する。
3人でスクラムを組むプログラム
競技規則に従って味方および相手と正しい手順に沿ってバインドする。ボールが投入されるまで押さない。
プロップの選手は第2列のロックとフランカーの3人で、スクラムマシンに対して組む。
5人でスクラムを組むプログラム
スクラムマシンで姿勢を確認し、次に5人対5人でスクラムを組む。5人までのスクラムができるようになったら最後に8人でスクラムを組む。
Part 3-4 ラインアウト
ジャンパーのプログラム
胸を張り、腕を前に構え、膝を曲げてスクワットポジションをとる。
両足で、思い切り上へジャンプする。
リフターのプログラム
まずはスクワットポジションをとるトレーニングをする。
次にハンドダミー、タックルダミーをリフトし、最後に人をリフトする。
フロントリフターはジャンパーの大腿部を、バックリフターはジャンパーの臀部を手のひらでつかみ、指を開く。足をドライブさせ、肘を伸ばしきって、 ジャンパーをサポートする。相手を妨害したり遮ったりする位置に移ることなく、ジャンパーを安全に、コントロールを失わず着地させるようにする。